現代人はSNSにいくら時間を吸われているか

多くの人にとって、最も大切なものは時間だろう。

お金は失っても、あとから取り戻せるかもしれない。しかし、失った時間だけは、どれだけお金を積んでも取り戻せない。時間、つまり寿命が尽きてしまえば、銀行口座に何億円残っていても使うことはできない。

ウォーレン・バフェットにも、ビル・ゲイツにも、そして私たちにも、一日に与えられている時間は等しく24時間である。

厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、2024年の日本人の平均寿命は男性81.09年、女性87.13年だった。長いように思えるが、人生には終わりがある。

では私たちは、その限られた時間のうち、どれほどをニュースやYouTube、X、Instagramなどに使っているのだろうか。

SNSと動画に毎日85分

総務省の「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」は、インターネットやSNS、テレビなどの利用実態を調べたものである。

この調査を基にした公開資料によると、平日の全年代平均で「ソーシャルメディアを見る・書く」時間は34.7分だった。

さらに、YouTubeなどが含まれる「動画投稿・共有サービスを見る」時間は、2024年に平均50.8分とされている。

この二つを単純に足すと、一日85.5分。約1時間26分である。

もちろん、この数字にはニュースサイトを読む時間や、関連情報を検索する時間などは含まれていない。ここでは、あくまでSNSと動画だけを大まかに合算している。

一日85.5分を、15歳から85歳までの70年間続けたとしよう。

その合計は約3万6400時間。日数にすると約1517日。年数にすると、約4.2年になる。

つまり私たちは、眠ることも、食べることも、休むこともなく、4年以上にわたってSNSや動画を見続けている計算になる。

一日数時間は、人生の数年間になる

一日単位で見ると、1時間や2時間はそれほど長く感じない。

しかし、それが毎日積み重なると、数字は大きく変わる。15歳から85歳まで70年間続けた場合は、次のようになる。

一日1時間なら、約2.9年。

一日2時間なら、約5.8年。

一日3時間なら、約8.8年。

毎日3時間使う人は、人生の約9年間を画面の中で過ごすことになる。

しかも、これは24時間を一年として計算した数字である。睡眠時間を除き、実際に起きて活動できる時間だけで考えれば、人生に占める割合はさらに大きくなる。

SNSのすべてが無駄なわけではない

もちろん、SNSやYouTubeで過ごす時間のすべてが無駄だとは思わない。

役に立つ知識を得ることもある。遠くにいる人とつながることもできる。疲れた日に動画を見て笑う時間が、人を救うこともあるだろう。

問題は、SNSが善か悪かではない。

自分で選んで見ているのか、それともアルゴリズムに次の動画や投稿を選ばされているのか、ということだ。

何かを調べるためにスマートフォンを開いたのに、気づけば別の動画を見ている。数分だけXを確認するつもりが、知らない人同士の議論を30分も追いかけている。興味のなかったニュースまで読み、怒ったり、不安になったりしている。

その時間は、誰かに強制されて奪われたわけではない。

自分から差し出している。

だからこそ、気づきにくい。

私は一生見ないと決めた

私は、ニュース、YouTube、XなどのSNSを一生見ないと決めた。

これは、SNSを使っている人を批判するためではない。自分の人生の時間を、自分の手に取り戻すためである。

その時間で本を読む。

文章を書く。

散歩をする。

運動する。

家族や友人と話す。

何もせず、ぼんやり考える。

そして、必要なら十分に眠る。

SNSをやめれば、人生が突然うまくいくわけではない。空いた時間を別の無意味なことに使ってしまえば、何も変わらないだろう。

それでも、少なくとも時間の使い道を、企業のアルゴリズムではなく自分で決められるようになる。

私たちは、SNSにお金を払っていないと思っている。

しかし実際には、お金より貴重なものを払っている。

自分の時間である。

一日1時間は小さく見える。

だが、その1時間が積み重なれば、人生の数年間になる。

SNSを見るかどうかは、単なる暇つぶしの問題ではない。

自分の人生の数年間を、何に使うのかという問題なのだ。